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魚沼の秘密!コシヒカリ、同じ新潟でもあぜ道1本はさんで価格差

700種以上もあるコメの銘柄のなかで、新潟県南西部産の「魚沼産コシヒカリ」は食味の良さから最高ブランドに位置付けられている。北側に隣接する地域で生産する「新潟産一般コシヒカリ」よりも700~800円高い。山間部で手間をかけて作っただけあって当然の価格差とも思ったが、現地へ赴くと、意外にもあっさりとブランドを分ける境界線が引かれる場所がありました。

左側の小千谷市は魚沼ブランドで、右側の長岡市は新潟一般のコシヒカリを作付けする(中央の道が市の境界)

■「ここがブランドを分ける境目」

 新潟県の小千谷市と長岡市を分ける幅3メートルほどのあぜ道がある。「ここがブランドを分ける境目ですね」。地元のJA越後さんとうの青柳利一・米穀販売課長は説明する。

 南側の小千谷市の田んぼで作られたコメは「魚沼産」のブランドで出荷され、北側の長岡市は「新潟産一般」になる。味に差はない。長岡市で作られる新潟産一般も全国屈指の食味。それでもあぜ道で分けられたふたつの銘柄は店頭に並べば価格差が生まれる。

 あぜ道を挟んで両市に田んぼを持つ農家、丸山孝夫さん。小千谷市と長岡市でそれぞれ約140アールを作付けする。自宅は長岡市にある。「運が良かったですね」と話す。生産調整による転作は長岡市側の田んぼで実施して、小千谷市側では全量を魚沼産コシヒカリとして出荷する。

 なぜ、こんなことになっているのか。新潟県のコシヒカリは「魚沼」「新潟一般」「岩船」「佐渡」の4地域に銘柄が分類されている。湯沢町以北にある十日町市や魚沼市などで作付けされたコメが魚沼産のエリアで、新潟一般の地域と北西部で接する自治体が小千谷市になる。農林水産省のマンスリーリポートによると、2015年産の魚沼産は4月末時点の集荷数量が2万1900トン(玄米ベース)だった。新潟一般は14万1600トン。相対的にみると、魚沼産は生産量が少ない。

 魚沼周辺で作られるコメは戦後すぐからすでにうまいコメとして知られていた。ミネラルを豊富に含んだ雪解け水に、昼夜の温度が大きい山間部ならではの環境で、うまみとなるでんぷんの夜間消耗が抑制されるからだといわれる。

ただ明確に魚沼産の境界線が引かれるようになったのは20年ほど前のようだ。1995年の食糧管理法廃止に伴い国が施行した食糧法でコメは政府主体の管理だった流通が自由化された。その際、コメ市場で地域の区別をはっきりさせる必要があった。この前後で新潟県のコシヒカリは4地域体制になった。「境界は地籍によって線が引かれた」と、青柳課長は説明する。土地が登記されている住所が銘柄を称するための根拠になったという。

 味や栽培方法といった視点で線引きされたわけではない。どこかで境界を決める必要があって、山間部から平野部へ向かう小千谷市と長岡市の行政上の市境で魚沼産と新潟産一般の線が引かれた。気候や土壌、水質は同じ。この境界線でいきなり味が変わるわけではない。丸山さんが言うように魚沼産に組み入れられた境界線の南側はまさに「運が良かった」というわけだ。

 実は平成の大合併の時に、この境界線は動いている。05年に旧十日町市や中里村など5市町村が合併した際、それまで新潟産一般のエリアだった松代町などは魚沼産ブランドに看板が変わった。

 10年に長岡市に飛び地で合併した旧川口町。もともと魚沼コシヒカリの地域で、合併によって住所は長岡市になった。「地籍で決める」というルールならば、新潟産一般コシヒカリになるはず。しかし伝統的に魚沼産コシヒカリの生産地で、飛び地合併だったこともあり、魚沼産ブランドを維持した。

 確かに市場ではブランド名による、価格差はある。魚沼産は恵まれた環境だけでなく、長い時間をかけて積み上げてきたブランド戦略があるからこそ、トップを走り続けている。ただコメの味は「生産者の努力によるところも大きい」と青柳氏。実際に魚沼産コシヒカリを超えるコメを作る篤農家も多い。

日本経済新聞電子版抜粋