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銘柄米、生き残り策実るか

減反廃止対策で新顔乱立 既に粒ぞろい、PRに躍起

東北や北陸などから登場したコメの新ブランドの新米が店頭をにぎわしている。ここ数年、銘柄は増加の一途をたどるが、背景には食の変化や人口減に伴う需要低迷がある。2018年産から半世紀近く続いた国の生産調整(減反)が廃止され、生産の担い手も不足するなかで産地は高付加価値を追う。生き残りへ開発を主導する自治体などのPR競争も過熱する。

10月下旬、宮城県の新たなブランド米「だて正夢」の本格販売に合わせて、東京都内で同県出身のお笑いタレントがPRイベントを開いた。開発に10年をかけ、甘みやもちもち感が特徴だ。「全部署がイベントの際はだて正夢をアピールするように檄(げき)をとばした」。村井嘉浩知事は県職員に発破をかける。

破格の予算用意

隣の山形県も18年産から「雪若丸」の販売を本格化した。硬めだが粘りがあり、「著名な料理評論家がカレーに一番合うと紹介してくれた」(吉村美栄子知事)。10年前に同県が投入し、生産者の限定などで高単価を実現した「つや姫」よりやや割安な弟分として二枚看板を狙う。テレビドラマで話題の旬の俳優、田中圭さんを宣伝役とし、PRにも力を込める。

北陸では富山県が「富富富(ふふふ)」、福井県が「いちほまれ」の販売を本格化した。富富富は写真共有サイトのインスタグラムでフォロワーが約230万人という女優の木村文乃さんをCMなどで起用。宣伝に約2億5千万円を投じる。11月に首都圏の大手スーパーでも並び、石井隆一知事は「滑り出しは上々」と手応えを示す。

いちほまれも県などで3億円以上という破格の予算を用意し、富富富の2500トンを上回る3千トンの出荷量を計画。地元出身の歌手、五木ひろしさんをフル活用し、福井が生んだコシヒカリに勝るおいしさと訴える。CMに加え、地元や大都市圏のスーパー店頭に小型モニターを300台以上配り、映像を繰り返し流して浸透を狙う。

新ブランドに期待するのは各地のコメ全体の評価の引き上げだ。宮城県はササニシキ、ひとめぼれを生んだが、開発から数十年が経過。だて正夢で他県が次々と送り込む新顔に対抗し、「コメどころ宮城を復活させる」(農林水産部の関口道班長)と意気込む。

生産者にとっては1銘柄に集中していると収穫時期などが重なるが、複数の銘柄を扱うことで作業を分散・平準化できる利点もある。「農家が大規模化するほど、様々な品種が必要になる」(山形県農業総合研究センター)という。

いずれも高価格帯を狙う。だて正夢の販売価格は5キロ約3千円。宮城県の働きかけもありJR東日本の東北・北海道新幹線の最上級車両で出す和食などに採用された。18年は出荷量1500トンで県全体の作付面積の1%に満たないが、「少量厳選で高価格イメージを大事にしたい」(同)。

消費量ほぼ半減

コメの消費量は1970年くらいまでは年間で1人当たり100キロを上回っていたが、最近はそのほぼ半分。主食用米の内需は毎年8万トン程度の減少が続く。国による減反廃止後も都道府県の多くが生産調整を続け、18年の作付面積はほぼ横ばいだったが、人口減で確実に減るパイを巡り産地間の競争が徐々に激しくなる可能性がある。

都道府県ごとの農業産出額に占めるコメの割合は富山県が67%で最も高く、福井県が61%、新潟県が58%、石川県が52%で続く。東北各県も秋田県の54%を筆頭に上位に並ぶ。大黒柱のコメで収益性を高めて生産体制をこれ以上揺るがせないことで農業全体を強め、地域経済の振興につなげたいとの狙いが新ブランドには込められている。

ただ、品質だけでみれば、すでに国内のブランド米は粒ぞろいだ。日本穀物検定協会(東京・中央)が毎年発表している食味ランキングで17年産は最高の「特A(特に良好)」が27道府県の43銘柄と、1989年(平成元年)の13銘柄から3倍以上に増えた。最高級とされてきた新潟県魚沼産のコシヒカリが初めて特AからAになるなど、顔ぶれも入れ替わる。

19年産で富山県が富富富の出荷量を5千トンに倍増させる目標を掲げるなど、各県は増産によるブランド定着を目指す。一方で山形県のコメ農家からは「作り慣れたはえぬきと違いを出しにくく、栽培面積を広げるべきか悩ましい」との声も聞かれる。消費者と生産者双方の支持を得て大型ブランドの実りを得るのは容易ではない。

10年で銘柄5割増 ブランド偏重の声も

「先日も平成34年(2022年)に発売されるコメの相談を受けるなど今後も新品種は相次ぐ。専門店としては楽しみな半面、店頭には並びきれない」。東京都内の百貨店などにも売り場を持つ米穀店、山田屋本店(東京都調布市)の秋沢美佳取締役は話す。

秋沢氏は自治体のコメ消費拡大に関する会議にも参加する。「各県が狙っているのは5キログラム3千円以上と何度も買うのは難しい高価格帯。作っても売れなければ残念なことになる」と懸念を示す。

各都道府県で作られるうるち米(主食用米)のブランド数を示す「産地品種銘柄」は18年で795銘柄。この10年間で5割増えた。夏の高温など近年の気候の変化に耐える品種の開発が各地で進んでいる要因もあるが、すでに乱立気味となっている。

富富富の販売拡大に取り組む富山県は「中長期にわたり埋没しない取り組みが必要」(農林水産部)とし、デビュー以降も大都市圏でのイベント開催などで認知度を高める工夫を絶やさない方針を示す。

山形県の「つや姫」のブランド化にも関わった宮城大学の大泉一貫名誉教授は「需要が減少する家庭用米の上澄みのような分野で競っても未来はない。つぶし合いで多くは消えていく」と最近のブランド偏重に手厳しい。業務用などに向く多収量の低価格米の開発により輸出を狙うなど、需要を見据えた戦略がなければ「地域の農業は守れない」と警鐘を鳴らす。

日本経済新聞電子版より