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ブランド米「しっかり系」続々

時は今、ブランド米戦国時代――。コメの新銘柄が各地で続々と登場しているが、近年はかみ応えのある粒感を重視した「しっかり系」が多くなってきた。コシヒカリや北海道産「ゆめぴりか」など「もっちり系」の牙城を崩せるか。需要の伸びている丼飯などに合う特長を生かして、家庭の食卓に定着する銘柄もありそうだ。

山形産「雪若丸」は粒感を前面にアピールする(東京都中央区にある「おいしい山形プラザ」)

「最近は硬めの銘柄を意識して買うようになりました」。都内の米穀店で70代の女性が買っていったのは、2018年にデビューした新銘柄の山形産「雪若丸」(1袋2キログラム1400円前後)。味わいはあっさりしているが、コメ粒が大きく弾力のあるかみ応えだ。ちらしずしが好きで自宅で作っては頻繁に食べているが、「コメが酢をよく吸うので酢飯の仕上がりがいい」と満足げだ。

コメの食味の主流はコシヒカリやゆめぴりかといったもっちり感のある銘柄だ。コシヒカリは1980年代から一貫して国内で最も多く食べられている品種だ。産地は、コシヒカリと違った味わいで独自性を出そうとし、しっかり系の新たなブランド米を続々と登場させている。

しっかり系のブランド米の人気が高まっている店舗もある(東京都中央区の米屋彦太郎銀座三越店)

鳥取産のブランド米「星空舞(ほしぞらまい)」が19年10月にデビューした。販売先は主に関東や関西のスーパーだ。星空舞は、コシヒカリと比べて表面が硬く、かむと跳ね返るような弾力性が持ち味だ。「若い層を中心にしっかり系のコメが好まれている。鳥取産米の販路開拓につながれば」と、開発を担当した鳥取県農業試験場(鳥取市)の橋本俊司作物研究室長は期待を込める。

愛媛産のブランド米「ひめの凜(りん)」も19年11月から県内のスーパーなどで販売が始まった。西日本の定番品種「ヒノヒカリ」と比べてコメ粒が一回り大きく、かみ応えのある粒感が売りだ。20年から千葉県でデビュー予定のブランド米「粒すけ」も大粒品種でコシヒカリより一回り大きく、同様の特長がある。

東京・銀座の米穀店、米屋彦太郎のお米マイスター、秋沢毬衣さんによると、近年デビューした新潟産「新之助」、青森産「青天の霹靂(へきれき)」といったブランド米もしっかり系だ。丼やすし、カレーなどにも合うという。「主に30~40代でファンが年々増えてきている」(秋沢さん)

コメ卸の幸南食糧(大阪府松原市)の川西孝彦社長は「共働き世帯の増加で手軽に食べられる丼などの需要が伸びている」と指摘する。丼は汁ダレを染み込ませながら食べるので「軟らかいコメだと形が崩れてしまう」と硬めのコメを求める消費者が増えている。

温暖化で頻発する高温障害への対応も背景にある。コシヒカリなどの銘柄は夏場のコメ粒が熟する時期に猛暑に見舞われると、白く濁って品質が下がり農家の手取り収入の減少につながってしまう。昨夏の猛暑でも新潟や東北、九州など全国でコメの品質が大幅に低下する被害が出ていた。

コメの食味に詳しい新潟薬科大学(新潟市)の大坪研一教授は「新銘柄米のほとんどは高温耐性がある。でんぷんに含まれる『アミロース』が多い分、食感が硬めになりやすい傾向がある」と説明する。星空舞をデビューさせた鳥取県では十数年かけて高温下でも作りやすいコメの品種改良を進めていた中、「偶然できたのが星空舞。コシヒカリから味わいで差別化しやすいとブランド化を進めた」(橋本作物研究室長)。

普及には課題も多い。大手コメ卸の木徳神糧の三沢正博専務は「ブランド米は販売価格の高いケースが多いので消費者が手を出しにくい」と指摘する。19年12月中旬の都内スーパーでは、雪若丸や新之助といったブランド米が5キロ2500~3000円前後で並んでいる。家庭用の代表銘柄、新潟コシヒカリと同等以上の価格になっている。

食べ慣れた銘柄よりも高い価格帯ならば「わざわざ買おうとは思わない。コメの味は大差ないのでは」(都内在住の30代主婦)と、冷ややかな視線を向ける消費者が多いのも事実だ。近年は様々な個性を持ったブランド米が増えてきているが、「高級ブランドの市場は広がっていなくて、コメ全体の数%止まり」(大手コメ卸)という状況だ。

記者(26)も昨年まではブランド米を食べていなかったが、食べ比べてみた結果、今ではいくつかの銘柄のファンになった。産地は、食べる機会がない消費者との接点を持てるように試食イベントを開いたり、手に取りやすい安めの販売価格に抑えたりするといった工夫が必要だろう。しっかり系のコメ市場を巡るブランド米競争はまだ始まったばかりだ。

日本経済新聞電子版より