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新ブランド米、苦戦浮き彫り デビューから値下がり

乱立するブランド米の優勝劣敗が鮮明になってきた。新ブランド米のデビュー時からの小売価格の推移を追跡してみたところ、「いちほまれ」(福井)など多くの銘柄で1割前後値下がりしていた。一方、「青天の霹靂(へきれき)」(青森)は健闘しているが値上がりは小幅だ。ブランド米競争は多くが惨敗と、限界感も見せ始めている。

値下がりは8銘柄中4銘柄

在庫を処分しようと特売にかけられるブランド米も多い(東京・世田谷のスーパーのオオゼキ)

小売価格は、全国小売店の販売データを集計する日経POS情報のブランド米の販売動向(取り扱い銘柄の多い大手コメ卸経由、税別)をもとに、1袋5キログラムのものを調べた。

POSで把握できる品種別、数量別などコメ650種類のデータから、生産量が多く全国で流通する8銘柄を新ブランド米として選び、比較のため伝統的な高級ブランド米「魚沼コシヒカリ(新潟)」を加えた9銘柄を対象に分析した。対象期間は2019年産までの10年間で、新米が出回る10月から翌年9月までを「年産」として、価格などを平均して計算した。9月に収穫して当月、出荷した分については前年産に含んだ。

魚沼コシヒカリを除く新ブランド米8銘柄中、デビュー時から値上がりしたのは4銘柄、値下がりも4銘柄だった。一見すると半々だが、ここ5年で相次いで登場した「後発組」ほど、価格上昇は小さく下落は大きい。コメ全体の卸値(農林水産省まとめ、加重平均)は19年産まで5年連続で上昇。この間に3割値上がりしているだけに、新ブランド米の苦戦ぶりが際立つ。

新ブランド米の中でも値上がりが目立つのは、デビュー時期が早かった「先行組」の2銘柄だ。「ゆめぴりか」(北海道、09年デビュー)が9年で36%、「つや姫」(山形、10年デビュー)が同26%と大幅に値上がりしたことが確認できる。一方、「後発組」では16年デビューの「銀河のしずく」(岩手)が11%高。15年デビューの「青天の霹靂」も1%と小幅高にとどまった。

値下がり率トップは「いちほまれ」。販売実績のある16年産から3年で14%安くなった。コシヒカリに代わる高級米を目指して、18年に本格デビューしたが、苦戦している様子がうかがえる。

「新之助」(新潟)も振るわない。魚沼コシヒカリと並ぶ高級米として17年にデビューしたが、7%下落した。18年から本格販売が始まった「雪若丸」(山形)は7%、「だて正夢」(宮城)も6%の値下がりだ。

「魚沼コシヒカリ」にはなれなくても「ゆめぴりか」や「つや姫」に続けと、各地で続々と新ブランド米が投入されたが、産地の思惑通りに販売は進んでいない。

新ブランド米の現状について、関西の大手コメ卸の幹部は「通常価格で売れるブランド米はほとんどない」と断言する。各地が売り込みに熱をあげるブランド米だが、知名度も上がらず売れ行きが伸び悩んでいる。卸やスーパーが利ざやを削り「特売を乱発して、在庫を売りさばいているのが実態だ」と指摘する。

都内の中堅スーパーからは「成功したブランド米は現時点で『ゆめぴりか』『つや姫』『青天の霹靂』ぐらいだ。この3銘柄には固定ファン層が一定数いる」との声が上がる。

魚沼コシヒカリは依然として別格だ。この9年で8%値下がりしたが、価格水準ではほぼトップを維持と、他の銘柄を寄せ付けない強さをみせる。19年産は昨夏の猛暑で「粒の見た目が悪くなるなど品質が悪化した」(新潟県魚沼市のJA北魚沼)が、伝統の地位は揺らいでいないようだ。

特売で売れ残りを処分

POSデータでスーパーで特売にかかる比率をみると、新ブランド米の特売比率が増えていることが読み取れる。

特売比率は「いちほまれ」「銀河のしずく」が100%(いずれも19年産)にのぼる。新ブランド米の中には5キロ1000円で売ったケースもあった。値引きしないと売れない状況が浮かび上がる。

特売について、都内のスーパー、オオゼキ(東京・世田谷)で長年、コメの仕入れに携わる第二商品本部の城取利光統括部長は「客寄せの特売ではなく、無名のブランド米は在庫処分のための投げ売りも多い」と話す。値引き販売で売れ残りを避け、精米直後の鮮度が高い品ぞろえの維持を狙う。

同社では17年に、通常価格2180円(5キロ袋、税別)の「銀河のしずく」を特売で、新潟コシヒカリと同じ1980円にしてみたが、「全くといっていいほど売れなかった」。1680円まで値段を落として売りさばいたという。以降、2000円を切る価格での販売が定着した。

農家の収入を増やそうと、各地が熱をあげるブランド米。だが、高級ブランド米を買える消費者の厚みは「よくても全体の数%ほど」(大手コメ卸)とされる。少ないパイを巡ってブランド米が競い合い、価格を押し下げている。

苦戦が続くが、ブランド米競争は止まらない。「いちほまれ」や「新之助」は20年産の作付面積を前年より2~3割増やす。「安定供給しやすくなれば、大手スーパーなどへの販路を開拓しやすい」(福井県の福井米戦略課)と考えているためだ。今秋も福島や千葉などで新たなブランド米が登場する見通しだ。

流通業者からはうめき声も漏れる。「『隣の県が始めたからうちでも』『看板となるブランド米が欲しい』と自治体は進めたがるが、正直、販売面での不安が大きい。販売先は後から探すといった産地ばかりだ」(JAグループの幹部)

「おいしさをうたうブランド米はコメ売り場ではありふれており、価格競争に巻き込まれがちだ」と、オオゼキの城取氏は指摘する。

ブランド米競争が激化する一方で、消費者のコメ離れは止まらない。国内消費は毎年約1%ずつ減り続けている。

POSデータから垣間見えたのは、新ブランド米がすべてを解決する世界ではなかった。コメ産地は戦略の再考が求められている。「ブランド米神話」にしがみつく姿は現実からの逃避にすぎないのかもしれない。(商品部 高野 馨太)

日本経済新聞電子版より