おこめの話

こちらは、店主がお米の話・・・ときにはお米とは関係ないお話を書いていきます。

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白米とはどこが違う?『玄米』が栄養豊富といわれる理由とは?



噛みしめるほどに滋味を味わえる玄米は、健康ブームとともに注目を浴びている食材である。白飯とは異なる食味とはいえ、普段のおかずとも相性がよいのも魅力のひとつだ。ヘルシーといわれる玄米は、具体的にどのような栄養があるのだろうか。玄米だけでは栄養に不足があるという噂は本当なのか。本記事では、玄米の栄養について詳細を紹介する。

1. 玄米の栄養素と効果




白飯よりも身体によいといわれることが多い玄米。毎日ではなくても、定期的に玄米を食べたり、あるいは白飯と混ぜて食べたりしている人もいるかもしれない。その玄米の栄養について、具体的に説明する。

玄米の栄養成分表


玄米100g当たりのカロリー、糖質、および主な栄養は以下のようになる(※1)。カロリー:152kcal
糖質:34.2g
脂質:1.0g
食物繊維:1.4g
ナイアシン当量:3.6mg
ビタミンE:0.6mg
ビタミンB:60.21mg
マグネシウム:49mg

リン:130mg
亜鉛:0.8mg
タンパク質:2.8g

玄米の栄養:食物繊維


玄米には豊富な食物繊維が含まれている。成人男性ならば、1日に摂取すべき食物繊維量は21g以上とされている(※2)。玄米100g中には、1.4gの食物繊維が含まれており貴重な供給源となるのである。食物繊維は、大腸まで到達する栄養素であり、大腸内で発酵及び分解されて腸内環境の向上に一役買う。

玄米の栄養:ミネラル


玄米に含まれるミネラルも注目すべき数値だ。マグネシウム、リン、亜鉛、カリウム、マンガンなど、多種多様なミネラルが含まれている。成人男性の1日の推奨量は370mg前後である。(※3)玄米100g中には49mgのマグネシウムが存在する。またリンは、骨や歯に不可欠の栄養素で成人男性が1日に摂取すべき量は1000mg(※4)。玄米100g中には130mgが含まれる。亜鉛の1日の推奨量は11mgで、玄米100gには0.8mgの存在が認められている。亜鉛は体内における新しい細胞生成の必須要素である(※3)。

玄米の栄養:ビタミン


玄米が内包するビタミンには、ナイアシンをはじめとするビタミンB群やビタミンEがある。ナイアシンは脂質などの代謝に寄与し、エネルギー産生のために活躍する栄養素である。成人男性の1日の推奨量は15mgNEほどなのに対し、玄米100gには3.6mgNEが含まれている(※3)。ビタミンB6は免疫機能の維持や皮膚の健康のために役立つ栄養素で、1日の推奨量は成人男性で1.4mg(※3)。玄米100gには0.21mgが含まれる。ビタミンEは血管の健康やコレステロールのバランス維持に有益である。1日の理想的な摂取量は6?7mg、玄米100gには0.6mgが含まれている(※3)。

玄米の栄養:タンパク質


穀類とタンパク質はあまり結びつかないが、玄米には良質なタンパク質が含まれている。そもそもタンパク質は、ホルモンや代謝、体内のさまざまな器官を十全に働かせるために重要な栄養素である。成人男性は1日に65gのタンパク質の摂取が推奨されている(※5)。玄米100gには2.8gのタンパク質が存在している。

sprouted brown rice


2. 玄米のそのほかの栄養


玄米には、上記にあげた栄養以外にも多岐にわたる栄養が含まれている。たとえばビタミンB1の量は玄米100g当たり0.16mgである(※1)。成人男性の理想の摂取量1.4mgに大いに寄与してくれる量である(※6)。ビタミンB1は、体内におけるエネルギー産生において重要な役割を果たしている(※6)。さらに、玄米にはフェルラ酸というポリフェノールもある。フェルラ酸はメラニンを抑える働きがあるため、美白などの美容の分野で有用な栄養といえるだろう(※7)。

 

3. 玄米だけだと栄養不足で栄養失調になる?


ヘルシーな食材として、玄米は完全食品という異名を持つ。しかし実際には、すべての栄養をくまなく網羅しているとは言い難いのである。そのため、玄米だけ食べていては体調を万全の状態に維持することは難しい。そこで、玄米には何が足りないのか、おかずにはどのようなものがふさわしいのかを説明する。

玄米に足りない栄養素


文部科学省の食品成分データベースを参考にすると(※1)、玄米にはビタミンB群とEは含まれているものの、それ以外のビタミンが欠如している。具体的には、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンKなどがそれである。またビタミンB群のなかでも、B12に関しては含有量が0μgなのである。

玄米食におすすめのおかず


玄米だけでは補えない栄養をおかずで補足してみよう。たとえばレバーを使ったおかずならば、ビタミンA、B12、Dが補給できる。緑黄色野菜を使用すれば、ビタミンAとCが摂取できるだろう。ビタミンKを取り入れたい場合は、納豆や海藻類を一緒に食べるのがベ

ターである。いずれの食材も、玄米に合うおかずを簡単に作れることから、完全食のためのメニューはそれほど難しいものではない。

4. 玄米と白ご飯の栄養やカロリーの違いを比較



普段食べている白飯と玄米には、どの程度の栄養の相違があるのだろうか。(※8)。

100g当たりの数値(白飯:玄米)


カロリー:156kcal:152kcal
糖質35.6g34.2g
脂質:0.3g:1.0g
ビタミンB1:0.02mg:0.16mg
ナイアシン当量:0.8mg:3.6mg
葉酸:3μg:10μg
食物繊維:1.5g:1.4g
マグネシウム:7mg:49mg
リン:34mg:130mg
亜鉛:0.6mg:0.8mg
パントテン酸:0.25mg:0.65mg
カロリーに関しては白飯がわずかに高く、脂質は玄米が多い。突出した数量の相違は、ビタミンB1、ナイアシン、葉酸、マグネシウムをはじめとするミネラル類、そしてパントテン酸があげられる。パントテン酸もビタミンB複合体のひとつであり、欠乏すると皮膚

炎や神経系の変性を誘発する可能性もある(※9)。カロリーそのものは大きな変化もないため、主食から栄養を補給したい場合には玄米のほうがメリットがあることが数字からもわかる。

5. 栄養豊富な玄米を美味しく食べる方法


白飯よりも栄養面において見るべき点が多い玄米。食べ慣れれば美味しいものの、最初は食べにくいと感じることも多い。玄米を毛嫌いせずに美味しく食べるためには、どんな工夫が必要だろうか。玄米の栄養を美味しく摂取するためのコツを紹介する。

玄米と白米を混ぜる


玄米だけでは食べにくいという場合には、白米と混ぜて炊く方法がある。白米と玄米の割合は2:1とし、炊飯前の浸水は2時間以上にするとより美味しくなる。洗米もともに行い、通常の白飯炊飯モードで美味しく炊くことができる。もちろん、栄養的には玄米100%と比較すれば下がるものの、ムリなく日常的に玄米を食べるにはベストな方法である。

炒飯などにアレンジする


白飯よりも粘りがない玄米食は、味付けのご飯にすると食べやすくなる。たとえば炒飯にすれば、肉や野菜、卵を具材にして炒めるために、玄米独特の食感も気にならなくなる。あるいはお粥にしてもよいだろう。どろどろになるまで煮込み生姜などでアクセントをつけると、身体も温まる一品となる。夏ならばライスサラダにして、トマトやチーズなどと合わせて美味しく食べたい。

6. 玄米の栄養摂取にはしっかり噛もう




玄米は白飯と比べても噛みごたえがあるのが特徴である。さらに、玄米を咀嚼することでより栄養を正しい形で摂取できることがテレビで放映され、話題になっている。その理由として、玄米は口の中で100回以上咀嚼されることによって、唾液中の酵素が作用しより消化を安易にすることがあげられている。玄米にかぎらず、食べ物を咀嚼することが健康に直結することは、日本成人病予防協会のサイトでも報告されている(※10)。消化吸収を促進するだけではなく、過食を防ぎ精神を安定させるセロトニンの分泌にも一助となるのである。玄米も、その滋味を堪能しつつよく噛んで食べるのが栄養摂取のための近道といえます。