おこめの話
こちらは、店主がお米の話・・・ときにはお米とは関係ないお話を書いていきます。
ブランド米に地殻変動!
“コメ番付”で判明した「コシヒカリ」地位低下の理由
一般財団法人日本穀物検定協会が2日、令和3(2021)年産米の食味ランキングを発表しました(対象産地品種銘柄152)。これは基準米であるコシヒカリのブレンド米と比較して、「外観・香り・味・粘り・硬さ・総合評価」の6項目を相対評価したものです。特に良好なものを「特A」、良好なものを「A」、同等のものを「A'」、その下に「B」と「B'」という順でランク付けされます。
今回、特Aを獲得したのは、42銘柄。その中で私が注目しているのが、北海道ゆめぴりか、新潟・魚沼コシヒカリ、山形つや姫といった人気銘柄と並び特Aだった佐賀の「さがびより」や西日本各地で栽培される「きぬむすめ」「にこまる」です。さがびよりは全国的に馴染みが薄いですが、12年連続で特Aを獲得しています。
■西日本のおいしいコメ
米どころの東北や北陸でないエリアのコメの評価が、なぜこれほどまでに高いのか。近年顕著になっている気候変動による影響が大きいと言えます。
さがびよりは、平均気温が高い場所でも一等米が生産できるように改良されています。このように近年躍進しているのが、高温耐性のある品種です。一方、昨年、長雨の影響で全国的に品質が低下したのが、高温や強風に弱いとされるコシヒカリでした。
コメは同じ品種でも生産者、エリアによって品質が異なるものですが、さがびよりは台風による塩害、害虫被害を除けば、他品種に比べて地域別の品質差が比較的小さく、安定しています。その理由のひとつが、穀物の乾燥から出荷までを一括して行うカントリーエレベーターという設備の設置率が高いこと。北海道を除き、全国でこのシステムを組織的に採用しているところはまずありません(1設備当たり10億円以上かかるため)。
新潟・魚沼コシヒカリの評価は相変わらず高いものの、地球温暖化に伴う気候変動によって、ブランド品種として君臨してきたコシヒカリの限界が近づいていると私は感じています。ウクライナ情勢による小麦価格の高騰で、日本は米食にシフトしていくことが想像できます。これを機に変わりゆくコメのおいしさを実感してみてください。